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■Windows 3.0のインストール



懐かしいWindows 3.0 のプログラム マネージャ

1991年当時は、Windowsを自分でインストールすることは当たり前の作業だった。当時のパソコンはMS-DOSで利用することが主流で、アプリケーションも利用経験もWindowsは不足していた。そんなWindows 3.0をインストールという側面から振り返ってみよう。

 

★インストールをするその前に


Windows 3.0のインストール作業は、途中からGUIの画面に切り替わる。その時に、CONIFG.SYSで設定しているFILES=の値が、とても重要な意味を持っていた。そのため、Windows 3.0のインストールでは、FILES=の値を30以上にしておく必要があった。また、BIFFERS=も20以上が理想だった。
理想的なCONFIG.SYSは以下のようなものだった。
================
FILES=35
BUFFERS=25
================

 


★SETUP.EXEの実行


CONFIG.SYSを修正して、MS-DOSを再起動したらインストールを実行する。PC-9801シリーズ用のWindows 3.0は、1MBのディスク4枚で構成されていた。Windows 3.0だけのインストールならば、ハードディスクは8MBで足りた。しかし、アプリケーションなどの運用を考えると、20MB以上の空き容量が理想だった。
Windows 3.0の1枚目のシステムディスクをドライブに入れて、SETUP.EXEを実行すると、システムディスク#1の内容がハードディスクにコピーされる。この作業で、Windows 3.0を登録するディレクトリ名を問い合わせてきた。標準では、A:\Windows がディレクトリ名となる。
1枚目のディスクをコピーし終えると、2番目のシステムディスクに交換するメッセージが表示される。作業の経過と内容は、Windowsの画面に表示される。途中のディスク交換も、Windowsによる確認画面が表示される。
3枚目のシステムディスクのコピーを完了すると、プログラムマネージャーを自動的に作成して、CONFIG.SYSとAUTOEXEC.BATファイルの修正をおこなう。
Windows 3.0のインストールで、AUTOEXEC.BATに追加される内容は、PATHの設定と環境変数TEMPの設定だ。
CONFIG.SYSの追加内容は、DEVICE行の登録だ。登録されるデバイスは、HIMEM.SYSとSMARTDRV.SYSの2つになる。
================
【CONFIG.SYSの例】
FILES=35
BUFFERS=25
DEVICE=A:\Windows\HIMEM.SYS
DEVICE=A:\Windows\SMARTDRV.SYS 2048 1024
================
================
【AUTOEXEC.BATの例】
PATH A:\Windows
SET TEMP=A:\Windows\TEMP
================
変更を完了すると、既存のAUTOEXEC.BATとCONFIG.SYSは、.OLDという拡張子で保存される。その後、プリンタや日本語入力など、Windows 3.0内で利用するデバイスドライバの登録作業になるが、NEC純正品を利用する場合は、ほとんど標準設定のままで構わない。標準のドライバ類を利用するときに、4枚目のシステムディスクが必要になる。ここで他の日本語入力FEPや、プリンタドライバを登録する場合は、個々のドライバに付随しているマニュアルなどを参照して、独自の環境を構築する必要がある。
最初のインストールでは、あえて標準設定のまま作業を完了して、後から個別のドライバを交換する方が、インストール作業の時間を短縮できるはずだ。
一連のインストール作業を完了すると、Windows 3.0の顔であるプログラムマネージャーが表示される。
PCをリセットして、MS-DOSを再起動させて、更新したCONFIG.SYSを認識させ、AUTOEXEC.BATのPATHと環境変数を登録した時点で、WIN.COMを実行して実際の利用となる。


★二つの動作モード


Windows 3.0には、スタンダードモードとエンハンスドモードという2つのモードがあった。このモードは、CPUとメモリ容量によって、WIN.COM実行時点で自動的に設定された。
MS-DOS用に開発されたアプリケーションを利用するための理想的なモードは、80386CPUでのみ利用できるエンハンスドモードだ。しかし、エンハンスドモードは80286CPUではスタンダードモードになり、このモードは制約が多かった。
2つのモードの違いは、まず、WIN.COMを起動する前の、MS-DOSのCONFIG.SYSの設定にある。例えば、マルチプランをWindows 3.0のエンハンスドモードで利用するケースは以下のようになる。


◆エンハンスドモードでの設定例


 最初にMS-DOSが起動するCONFIG.SYSを次のように設定する。
================
FILES=30
BUFFERS=20
DEVICE=A:\Windows\HIMEM.SYS
DEVICE=A:\Windows\SMARTDRV.SYS 2048 768
================
 次に、マルチプランを起動するためのBATファイルを用意する。
 このファイルは、Windows 3.0が利用することになる。
================
ECHO OFF
ADDDRV MP.DEV
CD A:\MP
MP
CD \Windows
DELDRV
================
このBATファイルを利用するためには、当然A:\MPディレクトリにマルチプランのプログラムをコピーしなければならない。
そして、AUTOEXEC.BATのPATHで、ADDDRV.EXEとDELDRV.EXEをコピーしたディレクトリを設定しなければならない。
さらに、MP.DEVファイルを作成する。
================
DEVICE=A:\NECAIK1.DRV
DEVICE=A:\NECAIK2.DRV A:NECAI.SYS
================
このファイルは、指定を替えれば、ATOK7やVJE-βを利用することもできる。その場合は、必要なファイルを各ドライブにコピーしておかなければならない。
これだけのファイルが用意できたら、WIN.COMを起動して、今度はPIFファイルの作成に入る。
PIFファイルとは、プログラム情報ファイル(Program Information File)と呼ばれるファイルで、Windows 3.0で利用するDOSアプリケーションに関する実行情報を管理するファイルだ。
Windows 3.0では、このPIFファイル経由で、DOSアプリケーションを利用するのが、一般的な方法となっている。
PIFファイルの作成は、プログラムマネージャーの中のアクセサリグループにある「PIFエディタ」を利用する。
この「PIFエディタ」を実行すると、作成画面が表示される。
ここで、各項目で必要な内容を設定する。
マルチプランのように、MS-DOSの基本設計に準拠したアプリケーションであれば、あまり高度なPIFファイルを作成する必要はない。逆に、グラフィック処理機能を持ったアプリケーションやEMSを利用する場合は、「高度(A)」となっている項目を選択して、より細かい設定をしなければならない。
だが、ここで問題となる点は、スタンダードモードでは、この「高度(A)」という項目が選択できない。
これが、最初に触れた2つのモードの大きな違いとなる。
エンハンスドモードであれば、この「高度(A)」でEMSやグラフィックメモリ環境の設定をして、DOSアプリケーションに最適の環境を用意できる。
PIFファイルが作成できたら、新規ファイルとして保存して、最後にプログラムマネージャーに登録する。
登録したPIFファイルは、アイコンで表示されるので、後はアイコンをダブルクリックするだけで、DOSアプリケーションをWindows 3.0の中から実行できるようになるのだ。


★スタンダードモードとは


スタンダードモードでは、EMSを利用するDOSアプリケーションに対して、Windows 3.0がEMSを用意することができない。
スタンダードモードで利用するDOSアプリケーションが、EMSを必要とする場合は、WIN.COMを起動する前に、EMSメモリを用意しなければならない。
具体的な解決方法は、ハードウェアEMSメモリの利用だ。
プロテクトメモリを疑似的にEMSとして使うEMMドライバは、利用できない。
もし、PCにプロテクトメモリしか搭載していない場合は、別途ハードウェアEMSボードを用意して、そのメモリボード専用のEMMドライバをCONFIG.SYSに組み込まなければならない。NECの純正品ならば、PC-9801-53Lを用意して、CONIFG.SYSにEMSDRIVE.SYSを登録する必要がある。
また、作成するPIFファイルも、エンハンスドモードとは異なる。
さらに、エンハンスドモードで設定する「高度(A)」にあたる項目が無いので、DOSアプリケーションソフトによっては、メモリ不足やメモリ資源の関係から、完全に動作しないケースも考えられる。
この2つのモードの相違は、主にCPUの基本性能による違いに起因している。
仮想86モードを持つ80386CPUに対して、DOS互換BOXとしてDOS環境を実現している80286CPUでは、DOSアプリケーションに対する動作環境が、100%のものとはいえないからだ。
仮想86モードを利用するエンハンスドモードであれば、PCに3MB以上のプロテクトメモリを用意するだけで、面倒な設定無しで、DOSアプリケーションにEMSを提供できる。
この結果からも、DOSアプリケーションを使うためにWindows 3.0を導入するとすれば、やはり80386CPUを利用したエンハンスドモードの利用がベストといえる。


★Windows 3.0用のアプリケーションを使う


Windows 3.0専用のアプリケーションは、そのインストール段階から、Windows 3.0の機能を利用するようになっている。そのため、インストール作業は、従来のMS-DOSアプリケーションに比べて非常に簡単だ。
実際の操作方法は、Windows 3.0のファイルマネージャーを起動して、インストールするアプリケーションのフロッピーディスクに入っているSETUP.EXEかINSTALL.EXEを実行するだけでよい。
後は、アプリケーション毎に用意されたインストーラーが、Windows 3.0の機能を使って、ファイルのコピーやディスク交換のメッセージを表示してくる。
Windows 3.0専用のアプリケーションは、高機能な製品が多い。インストールプログラムの実行が簡素になった反面、プログラムが複数のディスクで提供されるものが多くなり、実際のインストール作業は繁雑になりがちだ。
また、フロッピーディスクで提供されるアプリケーションの多くは、Windows 3.0の設定に従ったファイルの圧縮が施されている。
したがって、Windows 3.0のインストール機能を利用しないと、正しい実行環境が設定されない。プログラム自身が圧縮されているため、フロッピーディスクの枚数と、実際に必要なハードディスクの空き容量が異なる。そのため、アプリケーションの中には、イスントール機能の中に、ハードディスクにコピーするファイル指定と、必要な容量計算を同時に画面表示してくれるものもある。
実際にインストールを開始すると、メインとなるWINDOWの中に、作業の経過や確認内容が表示されている。さらに、その下に「インストラクション」とタイトルのついたWINDOWが待機している。作業中の内容に対する解説やヘルプが、この「インストラクション」の画面に表示される。
MS-Windows 3.0のアプリケーションのインストールは、このスタイルに統一されている。作業内容の解説や経過は、インストール中に画面で確認できるので、作業が繁雑でも、不安になったりイライラがつのることはない。
良質なインストールプログラムは、最後に自分のアプリケーションを表わすアイコンをプログラムマネージャーに登録してくれる。もし、そこまで作業してくれないインストールプログラムの場合は、作業が完了した後に、プログラムマネージャーのメイングループから「Windwosセットアップ」アイコンを実行する。
この「Windwosセットアップ」ウィンドウのメニューにある「オプション(O)」から、「アプリケーションの設定(S)」を実行すると、インストールされているすべてのWindows 3.0対応のアプリケーションを捜し出す。発見されたアプリケーションは、プログラムマネージャーに登録するか否かを問い合わせてくるので、必要なアプリケーションを登録する。登録が完了すると、プログラムマネージャー内に、新しいプログラムグループが作成され、その中にインストールしたアプリケーションのアイコンが表示される。


★プログラムマネージャー


Windows 3.0の標準的な起動画面は、特に変更しない限り、プログラムマネージャーが表示される。Windows 3.0専用のアプリケーションやPIFファイルは、プログラムマネージャーをプラットホームとして、起動することになる。プログラムマネージャーの中には、メイン・ウィンドウが表示され、その下にアクセサリ・ウインドウとゲーム・ウィンドウのグループが、アイコンで示されている。また、プログラムマネージャーのウィンドウには、「ファイル(F)」や「オプション(O)」などのメニューが表示されている。
プログラムマネージャーの命令を利用すれば、インストール後に設定される「ゲーム」や「アクセサリ」のようなグループウィンドウを作成したり、変更することができる。例えば、「DOSアプリ」というグループを新規に作成して、DOSアプリケーションとして作成したPIFファイルを、そのウィンドウの中にまとめて格納しておくことも可能だ。
Windowsセットアップによって新たに作成したプログラムグループも、プログラムマネージャーの機能によって、独自のグループ分類に変更できる。Windows 3.0のアプリケーション利用環境は、従来のWindows 2.11に比べて、格段に使いやすくなった。その最大の功績は、アイコンの導入にある。
アイコンには、実際に起動するプログラムファイル名とは異なる名称を登録することができる。プログラムファイルとアイコンの名称の関係は、プログラム情報を使って参照できる。また、プログラムの実行は、アイコンによる起動の他に、ファイルマネージャーを使うこともできる。
このファイルマネージャーは、従来のMS-Windows 2.11の基本画面にあたる存在だ。ファイルマネージャーは、ドライブの移動やディレクトリの管理に、ファイルを削除したりコピーする機能も備えている。


★Windows 3.0専用アプリケーションのメリット


Windows 3.0専用のアプリケーションを使うメリットは、複数のウィンドウを同時に参照して、その中で、データの交換や複写が実現することだ。
エンハンスドモードを利用して、DOSアプリケーションを複数利用することも魅力ではある。しかし、Windows 3.0本来の可能性は、Windows 3.0専用のアプリケーションを複数利用することで、大きく広がるのだ。
現段階では、まだまだDOSアプリケーションの方が、圧倒的な量を誇ってる。しかし、Windows 3.0の普及に伴って、今後はDOSアプリケーションよりも魅力的な、Windows 3.0専用アプリケーションが登場してくるはずだ。
その時のために、今からWindows 3.0に取り組んで、いつでも理想的なアプリケーション環境を用意できるようにすることが、新しいPC利用のスタイルになる。



(著者:田中亘 wataru@yunto.co.jp)






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